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S.M.A.R.T.(スマート情報)で障害状況を分析する


S.M.A.R.T.情報を取得する

 S.M.A.R.T.情報とはハードディスクの健康状態をハードディスク自身が発行する各種の情報である。現在までに発生した各種エラーの発生頻度や全てのエラー発生時のなかで最も状態が悪かったときのワースト記録などがハードディスク本体に記憶されている。各種エラー以外では、温度と過去最も高かったときの温度、積算使用時間、スタートストップ回数、不良セクタやペンディングセクタ、アンコレクトセクタの使用状況、スピンドルモーターや軸受けの劣化を補填するための増加トルクの値などを把握でき、さらに各種情報でこの数値までは問題ないが、ここからは危険だというようなしきい値も読み出せるので逆算すればハードディスクメーカー自身がどの程度を寿命としているのかが良く分かる。この様に大変有用な情報ばかりなのだがハードディスクメーカーごとに仕様が異なるからか、Windows自体はこの情報を全く利用していない。このためS.M.A.R.T.情報を取得するためにはソフトが必要になる。今回はHD Tune(フリーソフトダウンロードは こちら)を使ってS.M.A.R.T.情報を読み出してみる。なお先ほども記述術したが、S.M.A.R.T.情報はハードディスクメーカーによってその情報内容が異なる。例えばMaxtorとSeaGateでは、同じ項目でも1000倍以上の値の違いがある項目も存在するし、IDと属性名の対応関係も各社微妙に違っている。従って今回は一つの機種にしぼって項目を記述するが、読者自身がS.M.A.R.T.情報を読み解く際は使用ハードディスクにあわせ、  ウィキペディアなどで確認してほしい。


筆者はHDDメーカーの人間でもHDTuneのまわしものでもなくプラスチックフィルム袋の工場を経営している。仕事でアルミ袋やポリ袋、OPP袋、ラミネート袋、チャック袋、印刷袋、無地袋を使っている読者はお気軽に相談いただきたい。

プラスチックフィルム袋製造のホームページ

HD TuneのS.M.A.R.T.情報表示画面
HD Tune S.M.A.R.T.情報表示画面(Health)
ハードディスク温度、チャックディスク、アクセス速度、S.M.A.R.T.情報などハードディスク保全に必要な大半の情報が入手できる



S.M.A.R.T.情報を読み解く

S.M.A.R.T.情報をどのように読み解くか以下の表にまとめてみた。推測部分も多いので参考としていただきたい。

項目の説明

項目 意味
ID 属性ごとに振られたID番号。同一のIDでもメーカーによって属性名が違う場合もある。
属性名 属性名。
Current/Worst

Currentは現在値を示しWorstは最悪値を示す。IIDによって通算積算値の場合と今回起動積算値のものがある。またIDによって指し示す数値の意味と範囲が違う。パターンは数種類あって以下のとおり。

  • 温度(℃)など実数を表示する。数値の上下の良し悪しは属性によって異なる。
  • あらかじめメーカーが定めた寿命などまであと何%残っているか示す。100%から始まり0%に向かって数値が下がっていく。おおむねこの数値が小さいほど問題が大きい。
  • あらかじめメーカーが指標を定める。例えばあるエラーは100回の発生で1ポイントとする。(この単位は公表されていない。)そしてそのポイントを100から減算していく。100以外に200、253からの減算の場合もある。おおむねこの数値が小さいほど問題が大きい。
Threshold ハードディスクメーカーが指定したしきい値。この数字をCurrent値が下回った場合、異常、または故障寸前であるとメーカーが示した目安。
Data 現在までに検出した総数。IIDによって通算積算値の場合と今回起動積算値のものがある。
分析 IDごとにS.M.A.R.T.データがどのような障害につながるのかの筆者の分析



ID 属性名 意味 Current(現在)
Worst(最悪)
Threshold
(しきい値)
Data 分析
01 Raw Read Error Rate エラー訂正などの操作を行う前の読み取りエラー発生率 指標100〜0
  • 100=エラー無し
  • 0=全部エラー
※起動ごとにリセット
指標6以下はいつ壊れてもおかしくないととメーカーが指定 現在起動中に検知した個数
※起動ごとにリセット
指標が低い場合、
  • ヘッドやプラッタの異常
  • 排熱不足によるプラッタの変形
03 Spin Up Time ディスクが回転し始めてから規定の回転速度に達するまでのスピンアップ時間 指標100〜0
  • 100=最短時間でのスピンアップ
  • 0=スピンアップできない?
- - 指標が低い場合、
  • スピンドルモーターの劣化
  • 経年変化・低温のため流体軸受けの粘度が上がり、回転負荷が増大
  • 排熱不足による流体軸受けグリスの劣化に伴う回転負荷の増大
  • 電源劣化に伴う電流不足

Current/Worst値間に大差があれば使用環境に問題がある可能性がある
  • 電源劣化に伴う電流不足
  • 電流変動
  • 熱環境の変化
04 Start/Stop Count スピンドルモーターの回転/停止した回数 100%〜0%
  • 100%=ほぼ未使用・例えば寿命まで後10万回くらい。
  • 0%=寿命
20%以下
例えば10万回×20%=寿命まで残り2万回を切ったらいつ壊れてもおかしくないとメーカーが指定
現在までの積算回数 %低下の進行が早ければOSの省電力モードがONになっていて寿命を極端に縮めているかもしれない
05 Reallocated Sector Count 代替処理された不良セクタの数 100%〜0%
  • 100%=代替処理領域全体に対しての空き容量の割合100%
  • 0%=代替処理領域全体に対しての空き容量の割合0%(つまり領域を全て使い切ってしまった状態)
36%以下は危険とメーカーが指定 現在までの積算個数 %が0になれば以後不良セクタの代替処理が行われなくなり、その都度不良ブロックとしてOSに通知されることとなる
  • 電源劣化に伴う電流不足や熱によるチップの暴走
  • 排熱不足によるプラッタの変形
  • サーボ機構の劣化
07 Seek Error Rate シーク動作のエラー発生率 100%〜0%
  • 100%=エラー無し
  • 0%=全部エラー
※起動ごとにリセット(Dataは積算)
30%以下はいつ壊れてもおかしくないととメーカーが指定 現在までの積算回数 %が低い場合、
  • サーボ機構の劣化
  • 電源劣化に伴う電流不足
  • 電流変化
  • 微振動がある
09 Power On Hours Count ハードディスクの電源ONの積算時間 100%〜0%
  • 100%=ほぼ未使用・例えば寿命まで後10万時間くらい。
  • 0%=寿命
- 現在までの積算時間 -
0A Spin Retry Count スピンアップ時に規定速度に達するまで時間が掛かりすぎてタイムアウトし再試行を行った回数 指標100〜0
  • 100=再試行回数0回?
  • 0=再試行回数100回?
指標97以下(再試行回数3回以上)はいつ壊れてもおかしくないととメーカーが指定? 現在までの積算回数 Spin Up Timeと同様だがこちらのData値が0以外ならより深刻(壊れる寸前)である
0C Power Cycle Count (実際にハードディスクの電源が入力され続けた場合でも)ファームウェアが電源ON/OFFを制御した回数 100%〜0%
  • 100%=ほぼ未使用・例えば寿命まで後10万回くらい。
  • 0%=寿命
20%以下
例えば10万回×20%=寿命まで残り2万回を切ったらいつ壊れてもおかしくないとメーカーが指定
現在までの積算回数 -
C2 Temperature 温度 Current(現在温度)
Worst(最悪温度)
- 現在の温度
  • Worstに60℃以上が記録されていれば冷却環境を改善しなければ寿命が極端に短くなる
  • Currentに65℃以上が記録されていれば今すぐに壊れてもおかしくない
C3 Hardware ECC Recovered ハードウェアエラー訂正により回復した回数 Raw Read Error Rateのコピー? - 現在起動中に回復したエラー数 -
C5 Current Pending Sector ペンディングセクタ(不良セクタである可能性があるセクタだが、代替領域の節約のため、次回アクセス時まで判断保留としてあるセクタ)の数 100%〜0%
  • 100%=ペンディング処理領域全体に対しての空き容量の割合100%
  • 0%=ペンディング処理領域全体に対しての空き容量の割合0%(つまり領域を全て使い切ってしまった状態)
- 現在の個数(ペンディング解除で減ることがある) この数値が0になれば以後ペンディング処理が行われなくなり、いきなり不良セクタ扱いの代替処理が行われるため、代替セクタが急速に圧迫されることになる。これを防ぐためにペンディングセクタが増えたら、chkdsk /r を使って全データのスキャンを行ってペンディングの解除を促進する必要がある
  • 電源劣化に伴う電流不足や熱によるチップの暴走
  • 排熱不足によるプラッタの変形
  • サーボ機構の劣化
  • ディスクアクセスの偏り(chkdsk /r で全検査を実施)
C6 Offline Uncorrectable 代替処理できない不良セクタ(アンコレクトセクタ)の数 - - 現在までの積算個数 Data値が0でなければ代替処理不能の不良セクタがある
代替領域が食いつぶされ、それ以後に不良セクタが検出されると、ハードディスクはやむなくアンコレクトセクタを作る
当然OSでは不良ブロックになる
  • 不良セクタの多発
  • ペンディング処理の遅滞
  • その他全ての物理的、機械的原因
C7 Ultra DMA CRC Error Count 通信エラー 指標200〜0
  • 200=エラー回数0回?
  • 0=再試行回数200回?
※起動ごとにリセット?
- 現在起動中に発生したエラー回数? 指標・Data値が大きければ通信エラーが多い
  • ケーブルの破損
  • 規格外ケーブルの使用
  • コネクタの接触不良
  • コントローラー側の誤動作(熱暴走も含む)
  • ハードディスク側のコントロールチップの誤動作(電源不足・熱暴走を含む)
C8 Write Error Rate 書き込みエラー発生率 - - 現在までの積算個数? Data値が大きければ書き込みエラーが多い
  • ハードディスク側のコントロールチップの誤動作(電源不足・熱暴走を含む)
  • サーボ機構の劣化
  • ヘッドやプラッタの異常
  • 排熱不足によるプラッタの変形
CA TA Counter Increased
(Torque Amplification Count Increased)
回転速度維持のための基本増力(Data値)と追加増力(Current/Worst値)の増加? 指標253-Data値(現在の基本増力)〜0
  • 253-Data値(現在の基本増力)=最大追加増力
  • 0=増力なし=Data値(現在の基本増力のみ)
- 現在の基本増力? Data値が大きければ、デフォルトの状態に比べより多くの追加トルクを必要としている
  • スピンドルモーターの劣化
  • 経年変化や低温による流体軸受けグリスの粘度増加に伴う回転負荷の増大
  • 排熱不足による流体軸受けグリスの劣化に伴う回転負荷の増大

Current/Worst値間に大差があれば使用環境に問題がある可能性がある
  • 電源劣化に伴う電流不足
  • 電流変動
  • 熱環境の変化

※この図はすべて推測です。シーゲートST3300831Aの場合



ハードディスクの寿命
外付けハードディスクケース

外付けHDDケース

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 このページは理由なきハードディスク拡張をし続ける粋人のために作られた。PCに比類なき多量のハードディスクをいかに設置するかを研究、実験、報告するページである。ここに記載された内容は、筆者本人が信じて疑わないことであるが、世間的に必ずしも正確であるとは言えないことを宣言しておこう。また このページを参照しての実験はすべて自己責任で行ってほしい。なおその結果について当局は一切関知しないからそのつもりで。リンクについてだが、無断でおおいにやっていただきたい。それはこのページ内に筆者が製造販売している 番長 グッズが存在しているため、宣伝したいからである。よろしくおねがいいたします。


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