コンピュータはいよいよ生活に密着してきた感がある。息子の成長記録も、家計簿も全部コンピュータのデータになっている人は増える一方だ。死んだ両親の形見に彼らの持っていたデータを保持し続けなければならない場面も今後は出てくるはずだ。そうなれば、ますますバックアップの重要性は高まってくる。
今回はバックアップについて考えてみよう。
リムーバブルメディアへのバックアップの脆弱性
1.媒体の耐久性
バックアップデータをDVDに焼いてしまえば問題ないと考えている読者も多いと思う。しかしDVDは可視領域外の太陽光線により劣化が進むらしく、何年間データが保持できるか本当のことはまだわからない。太陽光線以外にもDVDを劣化させてしまう要因は多数存在するだろうから、一回データをDVDに焼いたから(永遠の意味が例えば30年くらいであっても)永遠だということは絶対無いだろう。また通常使用しているデータが破損したとき、それを修復するために焼いたDVDを押入れから出し入れしその際にメディアが破損してしまう可能性だってあることを考えると、筆者はテープデバイスを含めてリムーバブルメディアだけにデータをバックアップすることは絶対反対である。
2.リムーバブルデバイスの互換性における脆弱性
リムーバブルデバイスは、ハードディスクと比べて互換性という部分がかなり弱い。2007年の今、5インチのフロッピーディスクからデータを取り出そうにも現実取り出せない。PDなども同様である。
大昔、筆者の祖父がテレビに出演するというので、当時何百万円もした規格外VTRを使って録画した。その後規格外だとやばいということでBetaMaxに転送したまでは良かったが、そのベータでさえも今になっては再生不可能だ。
3.媒体やドライブ品質のばらつき
昔を思い出してみると全盛期の3.5インチフロッピーディスクの耐久性はかなり高かった。1枚のディスクを平気で1年2年使い廻していた。シャープの書院というワードプロセッサーをかつて使用していたが、その起動ディスクであるフロッピーディスクにいたっては5年くらい使っていた気さえする。それが現在はどうだろう。BIOSのアップデートに使うためにとフロッピーディスクが数十枚入ったパックを買ってきて使う。そして数ヵ月後、先日使用したそのディスクをフォーマットして再使用しようとすると、フォーマットが完了できませんとエラーが出てしまった。ドライブが古いからか?そう思い、ドライブを買いに秋葉原に行った。驚いたことに店頭ではフロッピーディスクドライブが数百円で売られていたので家中のPC台数分買って帰った。そして新品のドライブを装着し先ほどのエラーメディアで再度フォーマットを試みたのだが結局フォーマットは完了できなかった。と、このように同じ種類のメディアでも時期によって供給されるメディアの信頼性が大きく変わってしまうことがある。今回の場合はメディアだけでなくドライブデバイスの品質が以前より低下したのかも知れない。いずれにしてもフロッピーディスクのメディアとしての信頼性は15年前に比べて大きく低下したのは事実だ。このことは大きな問題を2つはらんでいる。
1つ目はバックアップしたメディアの保存状態が良いにもかかわらず、未来に使うドライブの品質が低下してしまって結局データが取り出せない危険性があること。
2つ目はデータを書き込む時点で、そのメディアの耐久力を間違って評価してしまう可能性があることだ。つまり例えばDVD-Rが新発売された当初のメディアでは最低5年は持ちこたえたという実績が使用者本人にあったので、その実績を元に、現在販売されている生ディスクを無評価で使用してしまったとしよう。生産国の変更やコストダウンなどで大きく品質が低下していて実は耐久年が3年に低下しているとしても書き込んでいるときに問題は発見しにくい。そしてそれを使用するのは実際にサーバデータが破壊され唯一の希望がそのディスクに集中しているときに初めて問題が露呈する。そうなってからではもうどうにもならない。
4.リムーバブルメディアにありがちな問題
リムーバブルメディアへの転送だと、メディアの手持ちがたまたまなかったり、バックアップするのもメディアを手で抜き差しして面倒だったりしてついつい怠りがちになる。うっかり3年間してませんでした。などというときに悲劇はちょうどやってきたりする。またなによりメディアを継続的に購入しているため、メディアへの価格意識が強くなり、ついつい差分バックアップのみになってしまうことが大問題である。リムーバブルメディア派の読者なら、ひょっとすると、一番重要な国宝級データである死んだ両親の写真などは15年前にはじめて買ったCDRで焼いたものだけかもしれない。そしてそのCDはすでに死んでいる可能性がある。明日あなたのマシンのハードディスクがぶっ飛べば永遠にそのデータは失われてしまうことになる。
理想的なバックアップとは
筆者が考えるデータ保存の王道は一定の時間間隔をもってサーバPCのハードディスク→バックアップ専用PCのハードディスクでバックアップし、国宝級のデータ(例えば死んだ両親の写真など)はそれに加えさらにリムーバブルメディアに書き込んで別の都道府県に住む友人や親戚に保管してもらう。そしてFD→MO→CD→DVD→BD→?などの様に、飛躍的に記録密度が上がった新メディアが発売され、その技術、互換性などがこなれたと思われた時点で、差分バックアップではなくまた新たに全ての国宝級データを新メディアに書き込み、遠くの場所に保管することが一番だと思っている。
ハードディスク間バックアップの優位性
ハードディスク→ハードディスクはとにかく便利で簡単だ。実のところ、バックアップの成否はこの簡単というところにかかっているとも言える。ハードディスク間のバックアップであれば、バックアップマシンの起動と転送だけですむので、バックアップを頻繁に行っても苦労がない。ちなみに筆者は相当昔からハードディスク→ハードディスクでバックアップを行ってきたため、NEC製Windows3.0BやOS2、MS-DOSのセットアップディスク、自作のconfig.sysなどが平気でメインサーバ上のハードディスクの中に存在し続けている。月一回のバックアップで、おそらく15年間以上保持し続けている。
ハードディスク間バックアップでの留意点
1.間隔をあけてバックアップする
データ喪失の原因で一番多いのがユーザーが誤ってデータを削除してしまうことである。リアルタイムでミラーリングするRAIDではミラー先のデータも同時に削除されてしまうためこの対策にはならない。個人用途のデータなら週1回や月1回の間隔での差分バックアップが最適である。ただし、元データでは誤ってすでに削除されていたり更新されているデータを無条件でバックアップ側も変更してしまったら意味がなくなるので更新・削除は確認了承してから変更がかかるような設定で行いたい。筆者はこの設定ができる(というかどれでもできるとは思うが)RealSync(ダウンロードは
こちら)というフリーウェアを何年か使っている。
2.サーバとバックアップPCは分離する
ハードやソフトの不具合を修繕しようとして、さらに深みにはまることは実に多い。であればPCになにか大きな改修作業を加えるときは、データが飛んでしまっても大丈夫という環境を始めから作っておかなければならない。にもかかわらずメインデータとバックアップデータが同一のPCに同居していたら、双方のデータが同時に喪失する危険性を作ってしまうことになる。従ってバックアップの基本としてメインデータとバックアップは同一ハードウエアユニットに同居してはならず、それぞれ別PCで組むべきだ。そして一方でなにか作業をしているときは絶対に残りの一方に手を出してはならない。例えばサーバとバックアップ双方ともハードディスクの増設が必要な場合、まずはバックアップから増設作業をし、完全に動作することが検証された上で、別の日に今度はサーバ側を増設するなどして同時進行性を完全排除しよう。
3.バックアップからの書き戻しは特に慎重に行う
例えばサーバを新システムに変更する場合、バックアップからの書き戻しが必要になる場合がある。筆者の経験だと、この工程でデータを失わせてしまうことが何度かあった。具体的に説明すると、普段バックアップを行うときはバックアップPC上でバックアップソフトを起動しメイン→バックアップという方向でデータを流すが、書き戻し時にはバックアップ→メインというように逆の流れになる。このときにいつもの癖でメイン→バックアップの方向のままバックアップを開始してしまうと、メインの空ディスクがコピーされてしまうためバックアップデータが全て消えてしまう。もちろん上にも記したように、更新・削除は確認了承してから変更する様バックアップソフトを設定しておけばこの問題はなくなるのだが、残念なことに実際には起こってしまう。なぜかというとバックアップPCから書き戻す直前に、前のサーバシステムから最後のバックアップを行うことになるが、その際新システムでは現行より容量が増すがゆえに、大して重要でないデータもコピーをしておこうと考えてしまう。そうするとその大して重要ではないが大量にある今回初めてバックアップの対象になったデータをいちいち更新・削除の了承確認していたらかなり面倒になり、一時的に更新・削除時の了承確認機能を止めてしまいたくなる。そしてその後新サーバへの書き戻し時にはそのことを忘れ、さらにデータ方向をバックアップ→サーバに変更しないという誤操作をしてしまい、データ喪失に至るのである。
これを防ぐために筆者はちょっとした工夫をしてこれにより何度も助かっている。
バックアップソフトが一番最初にアクセスするデータに、「自分に対する警告文」をファイル名にしたダミーファイルを1000個ぐらい作っておく。
例
o:\0000\このファイルが見えたらあなたは間違った操作をしている!0001.txt
o:\0000\このファイルが見えたらあなたは間違った操作をしている!0002.txt
o:\0000\このファイルが見えたらあなたは間違った操作をしている!0003.txt
o:\0000\このファイルが見えたらあなたは間違った操作をしている!0004.txt
・
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もし間違ってコピーする方向を間違えると、まずこれらのファイルが画面上にずらっと表示されてから次々データが削除されていく。1000個のこの手のファイルを削除するためには数秒かかるので、オペレータはさすがに気がついて停止し、本当に必要なデータにまで被害が及ぶ一歩手前で対処ができる。
あほかっ!という読者は多いと思うが、実際この文字を筆者は数回見てしまった。容量もほとんど取らないのでだまされたと思って実際ぜひやってほしい。
4.雷による一家心中を避ける
バックアップPCでフルミラーしてあっても、メインとバックアップが同時に死亡しては意味がない。火災や地震等の損害賠償請求すら棄却されてしまう激甚災害でデータを失うことはやむを得ないとしても(とはいえ筆者の実家はもらい火で半焼しているし、会社もやはりもらい火で火災にあっているので考えのうちに入れたほうがいいかもしれないとは思っている。)、家の近所に落雷があった程度で人生の思い出の半分が消えてなくなってしまったら諦めがつかない。筆者はやっていないが、真剣にデータを守るなら、バックアップPCの電源とLANケーブルは未使用時は切断しておいたほうが得策である。実際筆者の友人宅で落雷の被害があり、電気製品のほぼ全てが破壊された。またある日、夜中雷鳴がだんだん大きくなってきたので、窓の前にたってしばらく外を見ていたとき、眼下の自宅マンションから30m先にある一軒家の2F雨戸戸袋に落雷し、ぼやが発生した瞬間を目撃したこともある。信じられないことに我がマンションより相当低い地点にしかも建物の側面に直撃したのである。なにが言いたいのかといえば、雷はどこにでも落ちるし結構落ちるということだ。避雷針の先頭から45°の円錐下には落雷しないと子供のころ習ったが、高い建物の近くだからといって実は安心できない(と経験から勝手に思っている)。自宅に直撃しなくても電話線から電流が流れ込めば、ADSLモデム→ルータ→PCと来てLAN上の全てのPCが即死する可能性がある。アンテナやCATVから入ってテレビキャプチャーカード→LANと来てやはりLAN上の全PCが死亡する可能性がある。電源ラインも同様だ。
バックアップPCだけは未使用時に最低電源とLANは切断しておいたほうがよさそうだ。
5.ウィルスの侵入に警戒する
ウィルスで汚染された場合、種類によってさまざまな症状があるので一概には言えないが、OSの起動を不能にしたり、ドライブ内容を消去するものもある。
サーバとバックアップが同時に感染すれば、雷同様の全データ喪失という被害も考えられる。
従ってバックアップPCはOSのアップデートやウィルス検出ソフトを導入した後は、バックアップソフトを起動する以外は一切いじらない方針に筆者はしている。その観点で考えればバックアップ動作自体もサーバ側で行ったほうが有利かもしれない。またOSのアップデートやウィルススキャンソフトのアップデートなどで支障が出るので賛否は分かれるが、筆者の場合はブロードバンドルータ自体のMACアドレスフィルタリングでバックアップPCのパケットを外部と完全に遮断してしまっている。ちなみに筆者はサーバ自体も全パケットを遮断しており、外部と通信する必要がある機能はサーバ上の仮想PCで行っている。
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余談だが筆者はHDDメーカーの人間ではなくプラスチックフィルム袋の工場を経営している。仕事でアルミ袋やポリ袋、OPP袋、ラミネート袋、チャック袋、印刷袋、無地袋を使っている読者はお気軽に相談いただきたい。
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このページは理由なきハードディスク拡張をし続ける粋人のために作られた。PCに比類なき多量のハードディスクをいかに設置するかを研究、実験、報告するページである。ここに記載された内容は、筆者本人が信じて疑わないことであるが、世間的に必ずしも正確であるとは言えないことを宣言しておこう。また
このページを参照しての実験はすべて自己責任で行ってほしい。なおその結果について当局は一切関知しないからそのつもりで。リンクについてだが、無断でおおいにやっていただきたい。それはこのページ内に筆者が製造販売している
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